ゴースト×ゴースト小説、風の話。

神の子が生まれたらしい

神が祭られていると考えられていた木の根元に捨てられていた一人の少年。

白銀の髪、白い肌、純白の聖衣。

忘れ去られた人間の話。

少年は偽りの中、命を捨てたんだって。

「俺は神じゃない、人間だよ……。」
白の少年は言っていました。

俺は人間です、神なんかじゃないです。
だから神様にするために殺すなんて止めて。
この髪が地面についたら殺すなんて止めて。

そう、何度も何度も言っていました。
光の世界でずっと生きてきました。

でも光以外に何にもありません。
暑くもないです寒くもないです。

窓の外の人間は言っていました。
とある日は、
「風が冷たいなぁ」
とある日は、
「この風蒸し暑いなぁ」

風ってなんでしょう。
暑いときも冷たい時もあるそうです。

それって不思議ですね。
少しでもいいです。風が知りたいです。

「風が欲しい!」

でもそう思うときには、もう髪の毛が膝の辺りまで伸びていたそうです。

ある日のこと、少年は窓を突き破ろうと必死になって窓を叩きました。
しかし幼い少年の力では非力。
ひびも入りませんでした。

でも少年は叩き続けたのです。
いずれ手は赤くなっていきましたが少年はいつまでも、窓に張り付いて叩き続けたのです。

叩き続けて何年か経ったある日、少年の赤くなった手は大人達引かれ、闇の世界へと連れて行かれました。

そこには一人の少年が立っていました。
漆黒に包まれた、紅色の瞳をもつ少年でした。
その手に握られたナイフが輝いていました。
俺は殺されるのでしょうか。

でも彼も泣いていました。

……一体何故?


−後書き−
はーい、過去編の注意事項を書きます。
山場が割とありません、はい。
ふざけんなと思ったら言ってくだせぇw

神の子として殺される運命にある、とある少年。
黒と白が交わる時、幼い思考と優しさは不幸を呼ぶ。
次に語られるのは黒の少年の話。
一体何が起こってこんな運命に?

次回もお楽しみに!