ゴースト×ゴースト小説、刹那の希望

「会えたね」
薄い青の髪が揺れた。
暗い闇の中では、あまり分からなかったけど、確かにルクレツィアの声。

「死んだの……?あたし逹……」
グランディーネがそう聞いた。
「そうだよ。何かあっさりだったよね。」
寂しそうな声が小さく聞こえた。

「あのね、ここじゃ力も使えないし、動けもしないの。」
その言葉に、力を高めたが何も起こらないし、歩もうとしても足は動かなかった。

「……ああ、ただ司るだけになっちまったな。」
ノルヴェランスは儚く笑う。
しかしルクレツィアは、
「でも二人と一緒なら平気かもっ」
それは嬉しそうな声だった。

「あたしも平気。」
グランディーネも笑う。
「じゃあ此処でずっと静かに暮らすか。」
ノルヴェランスもその言葉に安心してそう言った。

「お喋りできるならそんなに嫌じゃないよねっ」
なんて、誰の顔もはっきり見えないし、とルクレツィアは言った。
するとグランディーネは、
「でもやる事あんまりないわよね」
声だけ聞けば寂しそうだった。

「話すこともなくなりそうだ………」
ノルヴェランスがそう言うと暫く沈黙となった。

そう彼等はこれから本当に無限に地獄を漂うのだ。
苦しくとも切なくとも、抜け出すことは出来ない。
ただ、ウォリスが別のことを望んでいるのならば、生まれ変わることが出来る。

だが、ウォリスが本当の悪では無いと、誰一人知らないのだ。
本当はこの神の世に悪など一人も居ないことを、誰も知らない。

何故ならウォリスが自覚していないから。
ウォリスが悪質な行為をしていることに気付いていないから。
自分が正義だと、思い込んでいるから。

だから無限だ。
答えの無い、迷路だ。

その真実に気付く勇者は、現れるのだろうか。
ーそれは運命に逆らう者


ー後書きー
ようやく戦いが終わった後の話に繋がる展開が書けました〜
過去編ですけどね、この過去よりもっともっと前です。

闇へ送られた3人の希望の勇者。
3人はその深い苦しみの中、諦めることなく暮らしていく。
ただ水の為、氷の為、戦の為………
自分の「宝物」を司る為に彼らは闇の中で永遠に……

次回もお楽しみに!