レスト小説〜ゴースト×ゴースト〜

「お兄ちゃん・・・どうしよう。」
「もう俺達に逃げ道は無いな・・・二人で死ぬ、か・・・」
二人、恐怖に震えていた兄妹。
「ごめんなさいお兄ちゃん・・・」
妹・・・レナが泣き出した。
「どうしてレナが謝るんだ。大丈夫俺がレナを守るよ・・・」
「だって、ゴーストの狙いは私だよ。お兄ちゃん・・・死なないで・・・」
俺に触れる・・・小さな手で。
「・・・死なないよ。大丈夫、大丈夫・・・だから・・・」
震える妹を抱いた。双子だけど・・・何故か年の差が広い気がするんだ・・・。
「逃げよう。二人で帰ろう。死にたくないだろ?」
立ち上がった。きっともう無理なのに・・・。
「うん。・・・げほっげほっ・・・」
立ち上がろうとする妹は、ひどく衰弱していてふらついている。
「大丈夫・・・お兄ちゃん。逃げよう・・・二人で。」
そう、二人で逃げるんだ・・・レナと・・・二人で。
「歩ける?レナ。」
「うん、平気。」
にこっと明るく笑って見せる妹の姿が切なくて・・・。
「行こう。きっと・・・」
「大丈夫だよね。」
手を繋いで走った。脱走する俺達の姿を捉えてセンサーが鳴り響く。
下手に動けば死んでしまう。レナが何度も後ろを振り返る。
「ゴーストだ!死んじゃう!!」
「大丈夫、まだ大丈夫だよ!!!」
全力で走る。元の生活に戻れるように・・・。
「出口だ!レナ!頑張って・・・!!」
もう荒い呼吸をしてふらふら走っている妹にそう声をかけた・・・途端。
「いやっ!」
レナと俺の繋がれている手が撃たれた。
「いっ!レナっ!!」
血の流れる手を必死に伸ばしてレナの手を握りなおそうとする。
「お兄ちゃん・・・逃げて・・・」
笑うレナの優しい顔。でも涙の雫は二人ともぼろぼろと黒い瞳から零れ落ちる。
「あ・・・」
レナが笑顔を消して崩れた。腹の辺りから流れる血が見える。
「レナ・・・!」
そう言ったときに吐き気に襲われた。そしてゴーストに外へと吹き飛ばされる。
「レナァァァァァァァアアアア!!!!!!」
飛ばされる中でそう叫んだ。もう・・・レナは死んだんだ・・・。
そう自覚した後、気を失った。



「・・・うっ・・・」
波の音、目の前には海が広がる。
「レナが・・・うっ・・・」
物凄い吐き気がする。
(レナは死んだんだ・・・な)
そう考えた途端なにをしたのかが分からなくなった。
混乱している自分は海の波の眩しさに目がくらんだ。